2007年09月19日

『OverDrive』(オーバードライヴ)19〜

『OverDrive』(オーバードライヴ)第19話


『OverDrive』(オーバードライヴ)第20話


『OverDrive』(オーバードライヴ)第21話


『OverDrive』(オーバードライヴ)第22話


『OverDrive』(オーバードライヴ)第23話


『OverDrive』(オーバードライヴ)第24話


『OverDrive』(オーバードライヴ)第25話



作中における諸問題
上記でも述べたように、漫画であるが故の矛盾や現実ではありえない(認められない)事柄については「作中と現実の相違点・矛盾」に、自転車やロードレースなどに関する用語や描写の間違いについては「用語・描写の間違い」に記載した。詳細は以下を参照。





[編集] 作中と現実の相違点・矛盾
ヘルメットをかぶらないでレースに出場:
通常のレースではJCF(日本自転車競技連盟)の規定により、ヘルメット無しでの出走は不可能(ちなみに現実では、安全の面からレース以外の走行時にもヘルメットをかぶることが推奨されている)。作品ではキャラクターの描き分けなど、作者の表現力の理由から、あえて被らせていない(コミックスに作者が記載)。
軽い練習で150kmを3時間で走行:
時速50kmで3時間も走り続けるというのは、世界のトッププロが全力で走っても容易に達成できないスピードである(ただし追い風などスピードの出る条件が整っていた場合は別である)。単行本では120kmを3時間に訂正されたが、それでも経験を積んでいない高校生にしては驚異的であり、「軽く」走れるスピードではない。その一方で、とあるレースでは平地での速度が時速20km程度にも関わらず「驚異的なペース」と言っている描写があり、整合性がとれていない。
空気抵抗:
練習で走っていたミコトがドラフティング(前を走る人の後ろにくっついて空気抵抗を軽減する行為)の列から外れた瞬間、空気抵抗を受けて後ろに吹き飛ぶ描写がある。(無風状態の中を)時速50kmで走行していたとしても、相対的に向かい風は風速14m弱である。バランスを崩して転倒はあろうが、吹き飛ぶのは難しい。
ロードレースでの服装:
作品ではミコトが襟のあるダボダボのジャージ、大和がフード付きのジャージを着ている(高校選抜ではレース用のジャージになっていた)が、これはあくまでも作品上の演出であり、現実のロードレースでは空気抵抗を減らすことが重要視されるため、こうした服装で走ることは絶対にありえない。
ギア比の制限:
現在、JCFやJCF加盟団体、あるいは都道府県連盟が主催するレースでは学生の肉体に与える影響上の問題からギヤ比については、17歳未満は7.01m(17〜18歳なら7.93m)、ギヤ比で言えば52×16ないし50×15程度を上限としており、高校生の参加者については、レースの事前なり事後なりにチェックが行われる(もっとも高校選抜レースに限っては非公式レースのため、この制限を適用せずとも罰則はないので、それ以上のギヤ比で走ることも可能である)。
もちろん制限があるとはいえ、このギヤ比は決して軽いものではないのだが(ケイデンス90で回すと37.7km/h)、トルク型の選手であるミコトのケイデンスは通常時で60という記述がある。すると平地での平均巡航速度は25.2km/hとなってしまい、一般的なレースにおける速度よりもずっと遅いということになってしまう。
ベルトコンベアを使った特訓:
ペダル回転の技術を向上させるため、コンベア上にピストを乗せて強制的にペダリングさせるシーンがあるが、実際にこのような状態でコンベアを動かすと、加速度の違いからニュートン力学に則って自転車は後方へ飛んでしまう(電車や車が急発進した時の状態を想像するといい)。
心拍数の計測:
心拍計をつけているにもかかわらず、医者が手首で脈拍を計らせるシーンがある。
ボンキング:
血液中のブドウ糖(グルコース)が枯渇して、運動に必要なエネルギーが供給されなくなり、力が出なくなる、あるいは活動不能に陥ることであり、この語自体は誤用ではない。
作者はランス・アームストロングとクリス・カーマイケルの共著である『ミラクルトレーニング7週間完璧プログラム』から引用したと思われるが(作品において、この本に記載されている解説がほぼそのまま転用されていることから分かる)、日本では「ハンガーノック」という表記が浸透しており、「ボンキング」は一般にほとんど認知・使用されていない(Google検索では「ハンガーノック」の43,600件に対して「ボンキング」は72件)。
骨折した足で2km歩く:
レース中に落車して足首を骨折した寺尾が中継地点までの2kmを歩いてくるが、中継地点に到着した時、トップから18分しか離されていない。これはロードレースのスピードから計算すると、小走りに近いペースで歩いてきたことになってしまうため(レースの平均スピードが30km/hとしたら5.5km/h)、通常では考えにくい状況である。
大会運営について:
寺尾のように骨折した参加者は、実際のレースならば即座にリタイアさせられる。これは、レースの主催者には円滑かつ安全に競技を進行する義務が課せられており、骨折した重傷者を放置するようなことは許されないためである(最低でも医師による診断がなされ、続行の許可が出される必要がある)。
また、北原のタトゥーやチャモの喫煙は明確な法律違反であり、通常は失格の対象となるほか、遥輔の金髪やジョニーのパンチパーマも現実においては十分に出場停止の要件となりうるし、中味が入ったままの缶ビールを選手に投げつける観客もいたが、このような危険行為をした場合は、レースを妨害したとして最悪、警察に引き渡されることになる。
体格の問題:
0.1秒を競うスプリントで勝利するために必要なのは多大なパワーであり、そのためスプリンターには恵まれた体格と瞬発力に優れた速筋が求められるが、この筋肉は肥大しやすい(=筋肉量が増える)性質がある。そのため一流のスプリンターは大柄でがっしりした体格の選手で大半が占められる。
一方、クライマーは重量に逆らって何キロも坂を駆け上がるため、身の軽さに加えて持久力に優れた遅筋が求められるが、この筋肉は肥大しにくい。そのためクライマーは総じて小柄で細身である。
実際のロードレースにおいてこの区分けは絶対的であり、これからすると160cm・50kgという体格のミコトはクライマータイプなのだが、脚質が登りでのスプリント(=ヒルスプリント)を武器とするトルク型スプリンターという、正反対の設定になっている(そもそもヒルスプリントは、スプリンターでなく、クライマーやオールラウンダーの十八番)。
レースと脚質の関係:
大和の父親は、もとはクラシックレースを得意とするクライマーという設定だが、1日で勝負がつき、かつコースが平地主体で、パリ〜トゥールのようにほとんど登りが無いレースさえあるクラシックレースでは、平均スピードも上がりやすく、登りで差がつきにくい。もちろんクライマーズ・クラシックと言われるジロ・デ・ロンバルディアのようなレースもあるが、これはむしろ例外であるため、クラシックレースにおいてクライマーが活躍できる場は、ほとんど無い(クライマーが活躍するのはツール・ド・フランスのように複数日にわたって行われるステージレース)。
そのため、現実のクラシックレースにおいて各チームはスプリンターかワンデーレースを得意とするオールラウンダー(例えばパオロ・ベッティーニやジョージ・ヒンカピー)をエースに据えてゴール数キロ手前〜直前の勝負に持ち込むか、先行逃げ切りを得意とするスピードマンを序盤から逃げさせて番狂わせを狙うのが常であり、大和の父親の実力がどの程度なのかは不明だが、クラシックレースではクライマーはエースのアシストに回るのが普通である。
ちなみに、スプリンターやスピードマンにもそうそう負けないというなら、クライマーでなくオールラウンダーに該当するため、いずれにしても矛盾が生まれる。
道路の使用における問題点:
高校選抜レースでは公道を走っていると思われる場面が多く見られるが、この大会は「非公式」という設定のため、中継地点でリレーのために止まっていたり、路上に鉄柵やテント、放送機材などを設置するといった行為は、現実では道路法(第32条 道路の占用の許可)ないし道路交通法(第77条 道路の使用の許可)に抵触してしまう可能性が非常に高い。
なお、私道を使用している可能性もあるが、一周80kmにもなるコースをカバーするだけの土地となれば、単純な正方形の面積換算で4万ha(13億2000万坪)、東京二十三区の6割にもなる広さが必要になるうえ(もちろんまっすぐ走るわけではないため、もっと面積は小さくなるが、それでも十分に広大なものになることが推察される)、しかもそこにロードレースが開催できるだけの道路が整備されている、ということは現実においてはきわめて想定しづらい。

[編集] 用語・描写の間違い
序列一位:
マガジン掲載時、第一話で使われた語。ツール・ド・フランスなどのロードレースにおける正しい表記は「総合」一位。
単行本では修正されている。
スプリンターヒル:
主人公ミコトの脚質(得意分野)を表した語。登りでのスプリントを得意とするの意味で使われているが、こうした脚質は存在しない。ちなみに現実では、「スプリンターヒル」という言葉は、ランス・アームストロングとクリス・カーマイケルの共著である『ミラクルトレーニング7週間完璧プログラム』の中でランス・アームストロングが短く急な登りの呼称として使っている。
フルアウター:
もっとも重いギアの組み合わせである「アウター×トップ」の意味で使われている(もっともスピードが出せるが、多大なパワーを必要とするので、主に下りやゴール前のスプリントなどで使う)。本来はインナーワイヤーがレバーからディレイラーまですべてアウターで被われている事を指す言葉。
3時で踏む:
ペダルを速く&上手く回すための脚の動きについて、クランクを時計に見立てて説明した語だが、通常は「12時から3時の位置まで踏むイメージで」といった感じで表記される。「3時の位置で踏む」ようなペダリングは、パワーロスが大きいので推奨されない。ただし、どんな動かし方がその人に合っているかは個人差があり、基本の動かし方を十分身に付けたうえで、自分にあったペダリングを追求することは間違いではない。
トレイン:
2名以上で走行している時(同じチームかどうかは問わない)、十数秒〜数分間隔で定期的に先頭交代をして一人一人の空気抵抗を減らしスピードアップ・維持を図る意味で使われているが、この行為は「ローテーション」と呼ばれる。
これに対して「トレイン」とは同じチームのメンバーが、ゴール前でスプリンターやエースを優勝させるため、あるいは先行して逃げている選手を追撃するため、さもなくば集団内での優位・安全を確保するためなどの理由で一直線に並んで走行・加速している状態を指し、ローテーションとの最大の違いは、1人が先頭になってメンバーたちを引き続け、力を使い果たした時点で後方に下がっていくことである(ただし追撃中の場合はチームメンバー2〜3人でローテーションしつつ、走ることがある)。
機材の間違い:
クイックリリースレバー(車輪を自転車に取り付ける道具)や、クランクが左右逆に取り付けられている描写がある。また前のギアを切り替えるはずの左のSTI(手元で変速を行う装置)で、後ろのギアが切り替わる描写もある。
シューズの間違い1:
ロードバイクのシューズは、ペダルを漕ぐ力を逃さないように靴底に「クリート」と呼ばれるパーツを取り付け、これをペダルにはめることでシューズを固定する。しかし作中ではこのクリートが付いていない描写があるほか、寺尾が落車した時にシューズが脱げるという不可解なシーンもある(パワーロスを防ぐため、ベルクロなどでしっかり足にフィットさせるので、転倒しても脱げることはない)。
シューズの間違い2:
ミコトが「ビンディングシューズで歩いてはいけない。歩くとカツカツ鳴る」と言ってユキに履いているシューズを見せるシーンがあるが、このシューズは普通に歩行できるようにしたSPDシューズであるため、多少の音はするが歩いても一向に構わない。
ちなみに音が鳴っておかしな歩き方(通称:ペンギン歩き)になるのはシューズに付けたクリートがむき出し状態になっているSPD−SLシューズである(クリートを固定するネジ穴の数がSPD-SLは3つ、SPDは2つなので、そこで見分けがつく)。
SPD-SLとSPDの使い分け:
上記のシューズの間違いでも触れたが、高校選抜レースでミコトがSPDシューズを履いているシーンがあるが、一般的には、SPD−SLは固定力とパワーの伝達力に優れることからロードレースで使用され、SPDは着脱が容易で、歩行に支障がないことからMTBレースや街乗りあるいは普段のトレーニングで使用される、といった具合に使い分けられる。
重要なレースならばSPD−SLが使用されるのが普通であり、わざわざSPDを使用する必然性はない(このため、上記の描写は2重の間違いをしていることになる)。
有酸素運動と無酸素運動の定義:
「シッティングは呼吸をしながら行う有酸素運動、ダンシングは呼吸をしないで行う無酸素運動」というニュアンスの記述があるが、有酸素運動と無酸素運動の違いは体内でのエネルギー生産に酸素を用いるか否かである。
そして、これを決めるのは体にかかる負荷の大きさであって、呼吸の有無は直接的には関係しない(わかりやすく言えば、息を止めてのんびり走っても無酸素運動にはならないということ)。
そのため、シッティングでも無酸素運動になりえるし、逆もまた然りである。
ダンシング解説の間違い:
「ダンシングは大きな力を出すので乳酸がたまる」という記述の直後に「ダンシングは疲労物質の乳酸を除去できる」という正反対の記述がある。
これは一見間違いのようだが、ダンシングは「全身の筋肉を利用して大きな力を出す」無酸素運動的な動作だけでなく、脚の筋肉を中心に使うシッティングに対して「より多くの筋肉や体重を使って、脚や心肺にかかる負担を一時的に減らす」有酸素的な動作にもなりうる(結果として脚の乳酸は除去される)。
そのため、この記述はダンシングの役割説明としては正しい。
だが上記のように、その前で「ダンシングは無酸素運動」と定義してしまっているため、結果として矛盾した記述になっている。
名前の間違い:
大和の父親は「パトリック・アンナ(Patrick Anna)」という名前のスペイン人だが、これはオランダ系やスウェーデン系の名前であり、スペイン語では「パトリシオ・アナ(Patricio Ana)」と表記&発音されるのが正しい(ただし、彼が移民ないし移住者の可能性はある)。
また、パトリックもアンナも名前としての使用が一般的であり、かつアンナは女性名である(この名前を無理やり日本名にするならイメージ的には「大助花子」というのが近い)。

[編集] 作者の自転車に関して
自転車情報誌『BiCYCLE CLUB』(竢o版社)2007年3月号に作者本人の自転車(トレック1200)が登場したことがあるが、そのときの写真には、通常車体の左にあるべきクイックレリースのレバーが右に出ている状態の自転車が写っていた。 この写真には他にも、タイヤが逆向きにはめられている、「本当に綺麗な自転車で傷ひとつない」いう文があるけれど記事に書いてあるくらいの距離を走ったらペダルなどには傷やかすれがついていないとおかしい、といった不自然な状態が複数見られ、多少なりとも自転車に知識のある人が見れば、本当に作者がロードバイクに乗ったことがあるのか疑問を抱かせる写真である。

また記事で作者は、購入を決意したのは、2003年のツール・ド・フランスで落車したホセバ・ベロキを避けてコースを外れてしまったランス・アームストロングが自転車を担いでレースに復帰する姿に感動したことが影響していると告白しているが、上記のように作者は『ぱふ』ではロードレースや自転車にはそれほど関心が無いという発言をしており、明らかな食い違いが見られるほか、記事の内容と作者の経歴を照らし合わせると購入時期やロードバイクに乗っていた期間などに矛盾が発生する。

ただし、これらはあくまで記事の内容が正確なものであるという前提に立ったものであり、やむを得ない事情で急遽代わりの自転車を用意した、あるいは作者が勘違いしていた、編集部の校正ミス、写真の修整、といった各種の可能性を無視することはできない。

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Weblog: パンチがたくさんあります
Tracked: 2007-09-07 14:04